2011年1月16日日曜日

Des hommes et des dieux

久しぶりに映画が見たくなって近所の小さい(ほんとうにちいさい)映画館に行った。素晴らしいと聞いていたけれど、内容についての前知識ナシで観たのはXavier Beauvoisグザヴィエ・ボゥヴォワ監督の『Des hommes et des dieux』(邦題『神々と男たち』)。2010年カンヌ映画祭でグランプリをとった作品。


フランスでは去年の9月に公開されたので、ずいぶん出遅れての鑑賞。90年代、内戦さなかのアルジェリアの田舎を舞台に、実際に起こった実話に基づいている。厳律シトー会(トラピスト会)の修道士7人がテロリストに連れ去られて殺害されるという、まぁふつうに聞くと重い内容で、実際に観ても確かにずっしりと重かったのだが、この作品に出合えてよかったと、よく説明できないのだけれど、そう思う。
私は、人に「宗教は?」と聞かれたらとっさには返事ができない、「えーっとね、」という感じで答え始めるフツウの日本人なので、そういう視点からしかこの映画を観られないし、逆にそれでよかったと思ったりもした。

役者陣がとても素晴らしくて、フランス人や映画好きには有名であるらしい俳優たちの顔を知らなかった私などは、物腰や仕草のおだやかさから、本物の修道士たちなのかと思ってしまったほど。修道士たちがアカペラで聖歌を歌う場面がたくさんあって実に美しかった。俳優たちが実際に歌っているそうだからお見事。それ以外に挿入された唯一の音楽が、チャイコフスキーの『白鳥の湖』。その場面がこの作品のクライマックス。どうしてこの曲なのか?を分析するなんて野暮なことはしないけど、きっとこれから『白鳥の湖』を聞いたり観たりするたびに、この映画のこのシーンを思い出すんだろうなと思う。

題名のDes hommes et des dieuxは、直訳すると『人間たちと神たち』となるのだけれど、この題名は、聖書の詩篇の一節からきているのだそうだ:« Je l’ai dit : vous êtes des dieux, des fils du Très-Haut, vous tous ! Pourtant, vous mourrez comme des hommes, comme les princes, tous, vous tomberez ! » (Ps 82, 6-7)

勝手に訳したくないのだけれど参考まで:「わたしは言いました:あなた方は神だと、神の息子たちだと、すべての者がです!しかし、あなた方は死んでゆくのです、人間のように、君主のように、皆、倒れてゆくのです(もし誤訳がありましたらお知らせ下さい、正式な日本語訳が見つからなかったのです)

邦題は『神々と男たち』となっている。ちょっと引っかかるのは、邦題だと「神々」と「男たち」の順番が逆になっている点と、des hommesというフランス語は「男たち」という意味もあれば「人間たち」という意味もあるのに、どうして「男たち」を選んだのかなぁという点。確かに、映画に出てくるのは、男ばっかり(ほとんど)なのだけれど、この映画を観ると、「人間たち」の方がしっくりくるような気がするんだよなぁ、と昨日からずっと気になっている。あまり下手にこの作品のことを書くと、なんかいろいろ台無しになってしまうような気がするのでこの辺でやめときます。

ご興味があって東京圏にお住まいの方は、3月上旬にシネスイッチ銀座で公開されるそうです。観て損はしない作品ですが、寝不足のときは行かないように。大いびきをかいて寝込んでしまったフランス人のマダムがいましたから。

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