2011年1月23日日曜日

嘘と真実

モンパルナス劇場に、演劇を観に行く。年末にワンマンショーを観に行った劇場の真向かい。映画やテレビでよく見かけるピエール・アルディッティPierre Arditiを含む役者4人のLa Vérité (『真実』)という作品。白髪ながら、フランス男の色気を残したアルディッティは大人気だ。チケットもお高く設定、という理由もあるのか、客席も白髪ばかりだった。
La Vérité
Théâtre de Montparnasse

親友の妻と不倫をしている男、不倫相手、男の妻そして親友が、嘘と真実をごちゃ混ぜにして、本当の嘘と本当の真実に翻弄されていく話。あまり引きつけられなかったけど、「『真実を言わない』のと『嘘をつく』のは違うことだ」というセリフだけは何故か頭の中に残った。特別好きな俳優ではないけれど、アルディッティは66歳にしてフランス男の艶がある。それでいて、演劇の先生が「彼はバカだという話よ」と言っていたのがなんとなくわかる気がする、人気者の持つ横柄さを感じる。
このひとです。
まぁ、ミーハーなおじいちゃんおばあちゃんたちには大受けなのでありました。

その日の午前中、5歳の女の子と話をしていると「このまえ日本料理を食べたの」と言うので「へぇ~。何を食べたの?」と聞いたら「ライチ!」。これで納得するわけにはいかない日本人のはしくれ、「他には?」とうながすと「やきとりと…スープ」。要するに、中国人経営の、「日本料理」に行ったということだと理解した。(こちらの中華でのお決まりのデザートはライチの缶詰。それはそれで美味しい)

ということがあったので、劇場の向かいの、エセ日本料理屋へ。ソファがシマウマ柄で、店の一番奥正面に日本の国旗が飾ってあって、テレビまでいくつもあるような、ところ。
「揚げだし豆腐」があって、微妙に違ったけどまぁ美味しかった。ざるそばのつゆが甘い天ぷらつゆでびっくりした。お寿司のネタは薄くて、シャリは大きすぎた。冷凍であろう餃子はおいしかった。居酒屋風にいろいろ頼んだけど、お寿司で美味しいなと思ったのは、「アボガド細巻き」だった。やっぱり、こういうお店に妥協して入ると、初めから終わりまで批判して終わってしまうので、気分も悪いし、それならちゃんと日本人経営のところに行くべきだと、改めて反省した。中国人のねえちゃんたちは長い髪の毛ばさっばさっとしたまま接客するし、メニューの名前は覚えていないらしくて、なんでも番号。たとえばアボガド細巻きだったらM(巻きのM)14と書いてあるから、「M14で~す」てな具合に持ってくる。ふー。日本の居酒屋で働いている人たちは偉いよ、あんなにメニューたくさんあるのにちゃんと覚えているもんね。
番号制のメニュー
とにかく、この劇場の通りにはエセ日本料理屋がたくさんたくさんあって、寿司なんかはファーストフード化している。確かに、寿司はファーストフードかもしれないけれど、もうちょっと日本の料理に対して敬意が欲しいと思う。お寿司なんて、日本だったら高級な、特別な料理だよ。と思うのに、こちらではあまりにもエセすし屋・焼き鳥屋が多すぎて、「スシでいっか」みたいな感覚になっているのが、どうも納得いかない。「スシでいっか」とはどういう物言いだ。日本人が「フォアグラでいっか」と言っちゃうような感覚?

テーブルには、「醤油」と「甘い醤油」が並んでいる。「甘い醤油」というのは、焼き鳥のたれのこと。昨日隣に座っていたカップルは、ご飯に「フツウのソース」をかけるか「甘いソース」をかけるかで迷っていた。「そんなことしない」と一慨には言えない。日本人でもするしね、ケチャップやマヨネーズもご飯にかけちゃう人いるみたいだし。。。寿司屋に焼きとりがあるのも納得できないが、お寿司とお肉を一緒に食べること、あるよね。パーティーとかね、お正月とか、なんか親戚が集まったときにはそういうことしていたような記憶があるから、それも嘘とは言えないし。

もう何が嘘だか真実だか、わかりません。

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