ダーレン・アロノフスキー監督、ナタリー・ポートマン主演『ブラック・スワン』を見に映画館へ。フランス人俳優ヴァンサン・カッセルも出演していることもあって話題の映画。
主人公はニューヨークのバレエダンサーという設定なので、必然的に踊りのシーンが多いのだけれど、いわゆる「バレエ映画」だと思って見に行くと痛い目に合うので注意。日本では、やれ「バレエの映画」だ、やれ「白鳥の湖」だ、「ナタリー・ポートマンは一年間特訓してダンサーの身体を作った」とバレエファンが楽しみにしているらしいし、映画館では黒鳥の羽根のオリジナルストラッププレゼント!などとおめでたくやっているので、勝手に少々心配中。少なくとも、バレエを習っているお嬢さんを連れて、いそいそと見に行く映画ではありませんし、これを見て、「私もバレエやりたいわ」と思うような夢見る作品でもありません。個人的意見ですが。
ヴェネチア映画祭で観たという知人が「よかったよ」と言っていたので、楽しみにしていたのだけど、いやぁもうへとへとに疲れて映画館から出てくる羽目に。なにしろ怖いし、幻覚シーンの映像も生々しいのでそりゃもう痛くて、目を覆うこともしばしば。
役作りの過程で悩み、アタマがおかしくなっちゃうバレリーナの話なのだけれど、バレエ漫画『アラベスク』(山岸涼子作)にも似たような話があったのを思い出した。結局、みんな「ないものねだり」で悩むんだよね。
黒鳥は子供のころすごく憧れた。気が強くて、美しいひと。でもいじわる。フレッド・アステアのビデオと同じくらい何度もなんども見て、箒をパートナー代わりにしてテレビの前で踊ってた。このときは、どうして白鳥と黒鳥を同じ人が踊るのかとか、裏切りとか、誘惑とか、全然わからないまま見ていたなぁと懐かしく思う。当時の精神年齢だと、「だって同じ顔の人がお城にやってきたら見分けられないじゃん」という考えが根底にあったし、「白鳥が黒い洋服を着てやってきたんだよ」とも思っていたような気がする。
小学生のころ見ていたボリショイバレエの映像
まるで自分が踊ったかのようにへろへろになって映画館から出てきて、目の前にあったムール貝のお店へ直行。最後にムール貝を食べたのは10月の初めだったけど、その時に比べたら貝も大きくて食べごたえがあった。
経済の本で、数年前に出版された『ブラック・スワン』という本があるのを、今回初めて知りました。そもそも「誰一人予想もしなかったインパクトのある事象」のことを、「ブラック・スワン」というのだそうです。「白鳥は白いものなんだから、黒鳥なんていない」とみんな思っていたのに、本当に見つかっちゃったという事実から来ているらしい。
「ないものねだり」と思っていたのに、実はあったんだよ。なんて、みんな上手くいけばいいのにねー。
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